井の中の中井、世界を知らず

【映画感想】 「スマホを落としただけなのに」 ネタバレあり

 

☆☆☆ 星3/5つです

 

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あらすじ

 

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。

 

身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか?

 

ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。

 

時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。

 

スマホを拾ったのは誰だったのか。

連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。

そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?

 

引用:公式サイト http://www.sumaho-otoshita.jp/story.html

 

 

 

スマホはもはや俺の臓器”

スマホには自分に関するあらゆる情報が詰まっています。

 

・電話番号や住所

・親兄弟、友人、恋人、仕事先の人達の連絡先

・その人たちと一緒に写っている写真

・検索したサイトの履歴

・インストールしているアプリ

etc.

 

普段どんな人たちと関わりながらどんな生活をしている○○という名前の人間、ということがバレてしまいます。私はマネーフォワードを使っているけど、見られたら貯金額や年収もバレますね。(んでもって少ねーって笑われる)

キュウソネコカミの「ファントムバイブレーション」に『スマホはもはや俺の臓器』って歌詞があるけど正にその通り。臓器が無くなったら人間は死ぬ。

 

そんな身近な存在であるスマホを落としたら殺人事件に巻き込まれてしまったというのが、この映画です。

スマホ落とすという日常 × 殺人事件という非日常』ですね。

私自身はスマホは必ずズボンのポケットに入れます。なので無かったらすぐ気づくので、無くしたことはないですけど、女性はバッグの中に入れる人が多いので無くしたor無くしかけた人は結構いるんじゃないですかね。

 

 

注意喚起の映画

この映画を見た人のほとんどが真っ先に考えるのは「ちゃんとセキュリティ対策しよう」ってことだと思います。

自分は仮にスマホを拾って中身を見れたとしても、「エッチな画像はないんかよー」って写真フォルダの中を確認するくらいしかできません。それ以上の悪用の仕方を思いつかないし、悪用するための技術もないですから。

「やりようによってはここまで悪用できるんだぞ」という最悪のケースを見せてくれるのがこの映画です。

そういう意味で、楽しみながらセキュリティの大切さを思い出させてくれる注意喚起の映画として凄くよくできていると思います。最悪のケースを見ないと人間どこかで調子に乗りますからね。

タイトルまんまだけど、スマホ落としただけで死にかけるなんて思いませんて。

一度手にした文明(スマホ)を捨てることなんてできないので、セキュリティ意識を高く持ってデメリットを最小にしながらうまく付き合っていくしかないんですよね。

 

ちなみに映画の冒頭から田中圭のセキュリティ意識はガバガバです。反面教師界の金八先生です。

「暗証番号を誕生日にしちゃダメだってのは、お母さんに一番最初に教わることでしょ!」って映画を見ながら突っ込んでしまったけど、結構いるんですかね。

 

調べてみたら、パスワードとして最も多い(予測されやすい)のは

“123456”

らしいです。(https://gigazine.net/news/20171220-worst-password-2017/)

「文字列」としてのカウントだから、“自分の名前”“誕生日”みたいなのは入ってないけど、今も昔も123456が1位の時点で名前や誕生日をパスワードにしている人も結構いてもおかしくはないですね。

 

他にも「セキュリティが甘いよ!」と感じたのは拾ってもらったスマホをカフェ店員に預けさせたこと。そこは直接受け取るか、交番に届けてもらわないと!

というかカフェ店員って業務に関係ない荷物預かるなんて面倒なことに巻き込まれそうな臭いがプンプンすることに対応してくれるんですかね?

 

 

終盤の告白シーン

終盤に犯人である成田凌の前で北川景子田中圭に対して自身の秘密を告白するシーンがあるんですね。私は昔ヒーローものの変身シーンを見ながら「いや変身に何分かけとんねん。この隙に敵は攻撃し放題やん。舐めプのヒーロー共に攻撃したれ」とか考えていた人間なので、犯人に殺されそうだって時に長々と告白するシーンには違和感がありました。

 

それで、北川景子が言わなくていいことをペラペラしゃべるんですね。ここでいう秘密っていうのは麻美(北川景子)は本当は死んでいて、整形した美奈代が麻美に入れ替わっているということなんですが、それと関係のない中絶の話もします。

私が田中圭だったら「結婚予定の最愛の彼女を命がけで助けにきたら、彼女は彼女じゃなかった・・・。いやでも俺が愛したのはこの麻美で、え?要潤のセフレだったし、妊娠もして中絶もしたことがある?ふ、ふーん・・・」ってめっちゃダメージ受けますね。

犯人には中絶はバレてないんだからわざわざ言わなくてもいいでしょ!

 

あと、良い人風に本物の麻美が描かれてましたけど、人の名義で闇金から借金するって中々のクズですよ。葛藤しながら借金する描写があればもうちょっと好感もてたのに。

 

 

成田凌、変態の演技

犯人である成田凌は母親から拒絶されたトラウマから、長い黒髪の女性に歪んだ性癖を持つようになった、一種の変態な訳ですが、めちゃくちゃ真に迫った変態の演技でした。

今まで「逃げるははじだが役に立つ」でしか成田凌を見たことがなくて、そんなに演技は上手くないと思っていたんですけど、印象が変わりました。

 

 

千葉雄大がかっこいい

そして同じように母親から拒絶されたトラウマを持つ刑事である千葉雄大。長い黒髪のデリヘル嬢を見て我を忘れてそっと後ろから抱き着くという、こちらも一種の変態な訳ですが、その穏やかな表情もあってか「キレイな変態」「清純派の変態」「変態界のプリンス」って感じでした。あのシーンは女性から見たらどう映るんだろう。「気持ち悪い」ってなるのか「私も後ろから抱き着かれたい」となるのか。

あと、犯人へのミスリードのためだと思われていた母親へのトラウマ設定もきちんと犯人逮捕に役立てていて良かったです。

それにしても、千葉雄大はすごく有能でしたね。きちんと順序立てて犯人に迫っていっていました。サイバー技術を使った創作ものでよくあるご都合主義も展開もなかったし。(ハッキングしてネットワークから独立しているオフラインのはずのカメラを乗っ取ったり、システムに侵入したり、カタカタカタッターン!でコマンドプロンプトの映像流しておけば観客を納得させられると考えているとしか思えない展開のこと)

 

それに対して原田泰造は一体何をしていたのか千葉雄大の肩ポンポンして先輩風ふかしてる場合じゃない。

 

可愛い系の役しかできないと思ってたけど、少し青髭がある千葉雄大も格好良くて全然アリだったな、って一緒に見に行った彼女に聞いたら「可愛い系じゃないとダメだし老けてきてちょっと嫌だった」とのことでした。

いやいや、もっと老けてもカッコいい役でやっていけるよ千葉雄大は。

 

 

最後に

スマホを落とした?でも大丈夫。そう、指紋認証やFaceIDがあるiPhoneならね。