井の中の中井、世界を知らず

【映画】「愚行録」の感想

映画 愚行録を見てきました。とても面白かった。

 

☆☆☆☆☆ 星5/5つです。

 

f:id:Botzlmann:20170219213209p:plain

 

●あらすじ

エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向たこう一家。絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。週刊誌の記者である田中(妻夫木 聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。

殺害された夫・田向浩樹 (小出恵介) の会社同僚の渡辺正人(眞島秀和) 。 妻・友希恵 (松本若菜) の大学同期であった宮村淳子 (臼田あさ美) 。 その淳子の恋人であった尾形孝之 (中村倫也) 。

そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美 (市川由衣) 。

ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、そして、証言者たち自らの思いもよらない姿であった。

その一方で、田中も問題を抱えている。

妹の光子 (満島ひかり) が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ――。

 

引用:映画『愚行録』公式サイト http://gukoroku.jp/

 

以下役名ではなく、役者名で書いてます。

 

 

●人間の本性

人間の本性なんて、関わったことのある人間・当事者にしか分からない。

 

この映画は一家惨殺されるという事件が発端となる。

「何でこの一家が殺されなくてはならないのか」と近隣住人に思われていた、夫と妻の

本性が屑だということが、関係者に聞き込みをしていく中で明らかになっていく。

 

実は彼らは恨まれてもおかしくない人間だった。

 

小出は女関係に適当である。

友人「捨てられた女の子のシーンでさ~」

僕「え、どのやり捨てされた子?」

 

さらにその子たち自身に興味があるわけではなくて、彼女らの持っているコネのために近づいたりする。そしてそれを隠そうとしない。

「女性を心から愛することなんて今後あるのか」って思わせる。

 

松本は臼田の彼氏を奪ったり、大学で内部生に取り入るために、女の友人(と思っているのかは分からないけど)を男たちに差し出したりする。

美人で品もあって、表面上は誰とでも仲が良い。でも裏で何を考えているのか分からない感じ。小出と違って本心を語るような場面もない。

 

二人とも使えるものは全て使う。

そりゃ誰かしらには恨まれそうだ。

 

 

でも、別にこの2人だけが屑って訳ではない。

登場人物だいたい性格悪い。

 

その中でも臼田が印象的であった

松本に恨みを持っている人を思い出した、と妻夫木に連絡をとる。

 

その女性の事を語るんだけど、それは実は妻夫木の妹である満島の話だった。

(先述の、松本が男たちに差し出した女の友人=満島)

 

それを、どこか楽しむように語る。

学生時代に松本に売られたせいで、人生が狂ったのではないかと。

育児放棄して逮捕されたのもそのせいではないかと。

満島の兄である妻夫木が目の前にいるとも知らずに語る。

 

こういう人は自分の周りにもいるように思う。

人生がうまくいっていないと分かっている人の話をわざわざ掘り起こして飲み会の肴にするような、人の不幸が好きな奴

 

結局、臼田は妻夫木に殺されてしまう。

 

 

この映画にでてくる登場人物は、見ている側からするとみんな性格が悪い。

だけども当の本人たちは自分が悪い人間であるとは全く思っていない。

 

小出は

「好きなように生きる。そのために(使えるものは全て使って)他人に嫌われてもいい。後悔をしたくない。」という生き方だ。

考えだけ見れば間違っているとは言い切れない。

 

「我慢をしながら生きる。他人に嫌われたくない。後悔をしてもいい」

という逆の生き方の方が最近だと批判される。

 

みんな自分はまともだと思っている。だから恨みを買うなんてこれっぽっちも考えていない。

 

僕は正直誰にも恨まれていない自信があった。

誰かに害を与えた憶えもないし、妬まれることもないようなクソ雑魚だからだ。

 

ただ、この映画を見終わった後その自信がなくなった。

 

僕は僕のことを本当に理解しているのか。

第三者から見たら愚かなことを、誰かを傷つけることをしているのではないか。

 

知らぬ間に誰かに恨みを買っているのではないだろうか。

 

 

 ●満島の告白

この映画で最もドキッとしたシーンは満島の告白である。

自分が田向家一家を殺したと告白する。

精神科医に自分の話をしていくうちに耐え切れなくなったんかな」と思いながら見てたけど、実は精神科医が席は席を外していて、独り言だったことが分かる。

 

ここが一番怖かった

 

満島の事をちょっと頭がおかしい人間であると思っていた。

子供の育て方が分からない、ご飯のあげかたが分からなくて死なせてしまう。そんなのまともな人間じゃない。

善悪の区別がキチンとついていない。壊れているのだと思っていた。

 

でもここのシーンで、精神科医が戻ってくるとピタッと告白を止める。

 

悪いことと良いことの区別がきちんとついているのだ。

区別はついていて、隠し通すべきだと分かっている。

 

一方向に振り切っているなら分かりやすい。

一般的な思考を持ち合わせつつ、どこかが壊れている。

そしてそれに気づかない。

それが怖い。

 

自分は?他の人は?

どこか壊れているんじゃないのか?

まともな人間だと思っているのは勘違いなんじゃないか?

 

そんなことを思った。

 

 

 

 

 

 

以下、思いついたことを適当に。

 

●妻夫木は妹が一家殺害犯だってことを知っていたのか?

妻夫木は妹が犯人であることは知っていたんだろうか。

聞き込みをしていく上で妹が犯人であることに繋がりそうな証拠などが出そうになったらそれを隠滅しようとしているのかと見ていて思ったけども。臼田を殺したのもその意味合いもあったのかなと。

 

●母親に言ったの?

妻夫木・満島の母親は、満島の子供が妻夫木との子であることを知っていたけども、満島が伝えたのだろうか。不仲だったとのことだけど、何故伝えたのだろうか。

 

慶應と早稲田?

ぶんおう、いなだ という大学が出てくる。

勝手に慶應と早稲田に変換して見ていた。

原作者の貫井徳郎は早稲田の商学部卒だし、モデルは多分合ってる。

 

慶應の内部生と外部生ってあんな感じなのだろうか。それとも女性だけ?

内部生は確かにめっちゃ金持ちとかいそうだけど、スクールカーストがあって「外部生は内部生と仲良くなりたくて必死」なんてあるのだろうか。

 

僕も付属高校がある大学に通っていた。「わ」が頭につく大学である。ちなみに僕は「慶早」ではなく「早慶」派である。

外部生だったけど、内部生との仲も良かったし、カーストみたいなものもなかった。

 

つまり何が言いたいかというと慶應はクソだから受験生は慶應ではなくて早稲田に行こう!!!(笑

 

松本若菜

始めて見かけた女優さん。

1984年生まれらしく、意外と年だった。美人だし若く見える。

最初から女優なのか、デビュー当初はモデルなのか友人と賭けた。

僕「絶対デビューはモデル!」

 

普通に外れました。